2012年5月10日 (木)

野蛮人 教養身につけ 生きてゆく

「野蛮人の図書室(佐藤優)」を読了。同氏の読書ガイドとしては、立花隆氏との共著に次いで読んだ。対象の読者は異なるがいずれも有用だ。

私が知るところでは、読書することの効用については、「役に立たない」という見方と「役に立つ」という見方の両方を聞く。私は、役に立つ、立たないという視点で読書を捉える視点に理解が及ばないと思っているが、この点、著者は「功利主義的な読書をする」という立場をとっており、明確である。

「われわれは誰もが野蛮人である。この現実を見据えることが重要だ」と冒頭に述べる。私も同感。私の取るに足らない経験では、世の中を理解することは難しい。

せめて、読書による代理経験でその不足を埋めていきたいと願っている。

ちなみに同書では、私が既読の書もいくつかあり、思わず「そうそう」とうなずいてしまった。

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2012年4月25日 (水)

春うらら ひさしが語る 日本語論

井上ひさし著「日本語教室」を読了した。氏の上智大学での講演が新書としてまとまられたもの。話し言葉なのでわかりやすく、かつユーモアを交えて日本語論が展開される。

日本語の「起源」「話され方」「表現」等、一部独自の見識を交えつつ、一方非常に熱心に研究されていて興味深い話であった。

日本語を大事にしながら、かつ駄洒落等も楽しみたいと少し思った。

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2012年4月18日 (水)

「企業ブランド構築」取組中

私の現在進行中の課題のひとつに、「企業ブランド構築」がある。

きっかけは、弊社の中期経営計画のうちに、このテーマが挙げられたことによる。

このテーマの担当は、直接的には社長をはじめとする経営陣になる。わたしはその事務局という位置づけにはなるのだが、お気楽ではいられない。実質的には、私がリードしていかなければいけないのは、自明の理だからだ。しかし、この「企業ブランド」というテーマ、具体的なアクションプランに落とし込む段階になると一筋縄にいかない。

大企業、特に消費財メーカーであれば、「企業ブランド戦略≒テレビでのイメージ広告」というイメージ的な構図が成り立つだろう(実際にはそれほど単純なわけはなかろうが)。

しかし、私の会社は通販を中心とした中規模の会社であり、これまでは商品を中心とした訴求を行っており、さらに広告を出せば、そのレスポンスを測定するというある意味で合理的な手法が中心であった。

しかしこの「企業ブランド」は、会社を売るために行うわけではない。イメージを向上させ、最終的に「生涯価値向上」や「付加価値の向上」を目指すことになる。

イメージという抽象的なものは、測定が難しい。いくつかの代替指標も持たないといけないだろう。また何を、どのように伝えていくのか、その当たりの情報の整理、発信にも力量を要する。

外部の方にも支援をいただく予定ではあるが、どうすすめていくか。難しいが、やりがいもある課題だと思う。

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2012年3月27日 (火)

日本の良さを未来へ「日本の曖昧力(呉善花)」読了

最近、特に東日本大震災後は「日本的なもの」に関心が集まっているように感じる。私も関心を持つ一人だ。本書は、拓殖大学の人気講義に大幅加筆修正が加えられたものである。韓国生まれの著者が中国や韓国等との比較を交えつつ、分かりやすく日本文化を語るとともに、その日本の良さを自慢するのではなく自信を持つこと、その良さを未来へつなげていくこと、を訴えている。

「曖昧力」という言葉自体は、まえがきには若干出てくるものの、本文には出てこないので、編集者によるものかもしれない。それはさておき著者によれば、日本らしさの起源は、「前農耕アジア時代」に遡るものだという。他国にもそのような時代はあったが、日本は海に囲まれているという特性からそれが失われずに残ってきた。それが違いを生み出している。

そこから生まれる日本らしさは、文化のさまざまな点に反映される。それは、美術であったり、石庭であったりする。さらにそこから生まれた技術は、最先端の科学分野にも活かされており、まさに日本文化が自信を持つべき点だという。

今の時代は、まさに自信をもって日本をアピールする時代になるだろう。そこを謙遜しがちなのも日本らしさか・・。

ビジネスにおいてもまた、まず自分の国を見つめ直す視点が必要なのかもしれない。

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2012年3月22日 (木)

世間の常識と単純化で日本を考える。「日本人へ~リーダー篇~(塩野七生)」読了

リーダー論を語る本は、ビジネス書をはじめ多くあるが、本書はローマという歴史視点と、分かりやすさという点で痛快な切り口を提供している。

本書は、ローマ研究の分野で著名な塩野七生氏によるエッセイ。2003年~2006年にかけて文藝春秋に連載されたものを再編集している。短編エッセイの集まりなので、リーダー論として体系化したわけではない。むしろ、著者の経験や視点を交えながら、様々な角度からの論評がなされており、その提言ひとつひとつが読む者に発見や気づきを与えてくれる。そのようなエッセイだと思う。

大きな特長はやはりローマという視点。そしてローマから見た日本のリーダーは、当時の首相小泉純一郎氏。ローマの例をひきながら、文明や、歴史の認識等からのすれちがいから、衝突が起こることを示す。そこで大事なのは、問題を単純化して焦点を明確にし、解決を図ることだという。専門家と称する人のまわりくどい説明は、さらに問題をわかりにくくするだけである。小泉元首相の郵政民営化の成功例を示すことで、世間の常識を持つこと、問題の単純化の重要性を説く。

正しい歴史認識や常識を持たない外交小国にならないためには、大同を重視し小異にこだわらない姿勢が重要である。当たり前のようで難しいリーダーの素質だということだろう。

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2012年3月16日 (金)

経営者の育成「BCG流経営者はこう育てる(菅野寛)」読了

中期経営計画の立案時等に際しても、必ず話題に上るのがこの「経営者の育成」だ。

本書は、大手経営コンサルティング会社BCG(ボストンコンサルティンググループ)出身の著者が語る経営者育成論。内容は、科学系スキルとともにアート系スキルを身につけることの重要性を訴えるものだ。著者が主張するアート系スキルとは、「強烈な意思」「勇気」「インサイト」「しつこさ」「ソフトな統率力」である。これらの内容について、著名な経営者の言葉を引用しながら紹介する。「ではどうやって育成するか」についての記述は限定的ではあるが、それは他で模索する必要がありそうだ。

ちなみに、冒頭に述べた弊社の中期経営計画策定のプロセスにおいて面白いと思って観察していたことがある。経営陣は、次世代の経営者を育てることが大事だといい、その下の部長クラスは、次世代の管理者を育成することが大事だという。もちろん、そのことに異論はない。ただし、今の自分たちがはたしてその職務を十分に果たしているのか?その問いに関する真摯な内省が見られることはない。

おそらく「経営者の育成」という問題は、たとえるならば「今の若い者は・・」とぼやくおじさんたちの構図の相似形のような気がする。どの世代、国にも起こりうる、古くて新しい問題なのかもしれない。

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2012年3月15日 (木)

ISIS編集学校申し込み

以前に「連塾-方法日本」に関しての読書記録を記載したが、(http://cyb02202.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-dc09.html)その著者である松岡正剛氏が提唱する「ISIS編集学校」の受講を申し込んだ。(http://es.isis.ne.jp/

選択したのはその入門前体験の「序」コースと、入門編の「守」コース。「序」コースは明日16日(金)からの受講開始となる。すごく楽しみだ。

実は、この申し込みにいたるには経緯がある。ひとつは、会社の管理本部で「変わろう、変えよう」のかけ声のもと、私も「発想力をつける」ことを宣言したこと。もうひとつは、松岡氏の著書を通じて、その「編集工学」なるものに興味を持ったことだ。

ISIS編集学校もその著書に書かれている考え方をもとにすすめられるだろう。自らをさらに変えていく良い契機にしていきたい。

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2012年3月14日 (水)

バランスト・スコアカードの見直し

弊社では経営戦略実行のツール、および成果の評価ツールとして10年近くバランスト・スコアカードを運用している。経営管理のために、財務指標のみでなく非財務の指標を設定していることを主な特長とするツールである。

弊社においてもようやく定着が図られてきたかと思っていたところ、社長から「(複雑で)よくわからない」という青天の霹靂ともいえるお言葉。しかし、一方で「戦略を自分なりに整理しようとしてみると、良くできたツールであるとも思う」とのこと。この一見矛盾する言葉を契機としてまた、先般策定したばかりの中期経営計画を部門展開するため、ツールの見直しに着手した。

そこで、改めて読み直したのが「バランスト・スコアカード-理論とケース・スタディ-戦略的マネジメント・システム(櫻井通晴)」。アメリカ発の理論を日本流にアレンジし、また豊富な事例を紹介している。今回見直しにあたり、役立ちそうなヒントが詰まっている。

弊社でのバランスト・スコアカードは、報酬とも連動していること、また業績管理に有用なことを勘案して変更することはあまりしたくないし、するつもりはない。

重要なのは「わかりやすさ」「説明力向上」だと考える。弊社流に、よりブラッシュアップしたツールに改善していきたい。

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2012年3月13日 (火)

平清盛を知る

 NHK大河ドラマ「平清盛」。妻と一緒に見ていたが、妻は脱落し今は私だけ続けて見ている。

 今回、読んだのは人物叢書「平清盛(五味文彦)」。人物叢書というシリーズは日本史上の人物に焦点を当てて展開された刊行物であり、巻末の案内を見ると1958年からの歴史のあるシリーズのようだ。

 ドラマに特に興味をひかれたわけではないが、その時期にあわせて読んでおきたいと思い、近隣図書館で手にしたのが本書。著者は学者であり、記述の正確性を意図した言い回しが見られるため、若干読みにくい面はあったが網羅的に記述されており、概要を把握するという点では良書であった。

本書によると平清盛に関しては、歴史上の重要人物であるものの正確に知る手掛かりは少ないそうである。そのため、平清盛を知るためには、その歴史背景やとりまく人物との関わりから探るというアプローチをとっている。いわれてみれば、ドラマでも平清盛の直接的なエピソードより、その周囲の動向が比較的厚い気がする。  本書により保元、平治の乱、またそれに源平争乱と続き、平家が力を持っていく様が理解できた。また、その平家がやがて源氏により衰退に追い込まれた背景についても同様である。

TVドラマを続けて見ることができるかは分からない。しかし、内容とは別に、あの題字の迫力は書の素人の私にも迫るものがあると感じている。

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2012年3月 2日 (金)

企業力を高める!「企業力活性化の理論と実務」(中村裕昭)読了

著者は、九州大学ビジネススクールで教鞭をとる銀行出身の教授。そして何を隠そう、私がMBAを取得した時のゼミの指導教官。先生は、大変勤勉であり理論家であるが、とても親しみやすい面を持ち合わせており、私が最も尊敬している恩師である。

同書は、主に事業再生に関わるターンアラウンドスペシャリストや、金融関係者等を対象として書かれている。同書の理論基盤は資源ベース理論(RBVResource Based View)である。この理論は、現在も喧々諤々の理論をされており、経営学研究においては先端の理論である。先端の理論ということは、発展途上の議論ということでもあり、実務には使いにくいというイメージがあるかもしれない。

しかし、近年の経営学は常に実証研究あるいは実務を念頭に発展している。同書においても実務応用への配慮が徹底されており、SWOT分析等の確立された理論やリスクマネジメントアプローチ等で補っている。また、構成上も実務で使いやすいよう、心がけられている。そのため、同じ文章が一部繰り返して出てくるという重複感が若干あるものの、非常に実務家向けの良書に仕上がっている。

また、内容を読みすすめていくと、かゆいところに手が届くというか、非常に緻密な説明がなされていることに驚く。たとえば第3章において経営資源ごとの説明があるが、資源の説明、関連理論、資源ベース理論に基づく見方といった俯瞰的な見方を提供する一方で、ケーススタディを織りまぜることによって、具体的で説明が展開される。また、想定される実務家からの批判的な意見も都度紹介しながら、それにも丁寧に回答、記述している。

著者により、資源ベース理論を実務に応用していける可能性がさらに大きくなると思う。今後は、経営者あるいはターンアラウンドスペシャリスト等の専門家たちの役割だ。

【主要目次】

第1章 : 企業力活性化と経営資源評価

第2章 : 経営資源評価の理論的枠組み

第3章 : 資源ベース理論の企業力活性化への応用

第4章 : 経営資源の統合的評価と戦略設計

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